今やカフェやコンビニなどで気軽に買えるので、アイスコーヒー好きの方は毎日飲んでいるという方も少なくありません。
しかし、お店で買って飲むとなるとお金がかかり、自分で淹れてみたいと考えている方も多いはず。
アイスコーヒーは嗜好品であり、自分で淹れるとなると奥が深く様々な疑問が出てきます。
- アイスコーヒーの入れ方に種類があるって本当?
- アイスコーヒーに合う豆ってどれだろう?
- 美味しく淹れる作り方は?
今回この記事ではアイスコーヒーの起源を始め、入れ方の種類・合う豆・美味しく淹れるための作り方や作り置きについて徹底的に解説していきます。
記事を読むことで、アイスコーヒーの知識を深めることができ、自宅で美味しいアイスコーヒーを作ることができるようになります。
ぜひ参考にしていただき、コーヒーライフをより楽しむきっかけになれば幸いです。
アイスコーヒーの起源
アイスコーヒーの基礎知識として、まずは起源について解説していきます。ルーツを知って。よりアイスコーヒーを好きになるきっかけになればと思います。
世界のアイスコーヒーの起源
コーヒーが初めて飲まれたのは15世紀頃ですが、コーヒーを冷たくして飲むことが広まったのは19世紀の1840年。実際に飲まれるようになったのは約180年前と、比較的歴史は新しい方です。
コーヒーを冷やして飲む習慣が広まったのは、北アフリカのアルジュリアという町からで、アルジュリア人ができたての熱いコーヒーに水を入れて飲んでいたことがきっかけです。
当時アルジュリアはフランス人の植民地として支配されていましたが、フランスの部隊員たちがコーヒーを水で冷やして飲むスタイルをアルジュリア人の真似をしたことで、アイスコーヒーが徐々に広まっていきました。
また、アメリカでは夏にコーヒーの消費量が低下するため、1920年頃(19世紀)に大手のコーヒー会社がコーヒーを冷やして飲む方法を提案・販売しましたが、当時は定着しませんでした。
その後の1990年に入ってから、今や世界的に有名であるスターバックスや他カフェチェーンがアイスコーヒーを商品化したことで、アメリカやカナダで広まっていきました。アメリカやカナダでアイスコーヒーが広まったのは、約30年前とは驚きますよね。”
日本のアイスコーヒーの起源
日本でアイスコーヒーが飲まれるようになったのは1891年(19世紀頃)の明治時代です。
作家である石井研堂氏が、自著『明治事物起源』の中で東京都神田の氷屋で「氷コーヒー」というメニューを紹介したことで、販売が明らかになりました。
大正時代になると喫茶店が誕生し、アイスコーヒーがメニューに登場するようになりましたが、当時は「冷やしコーヒー」と呼ばれていました。
「冷やしコーヒー」と呼ばれていたのは、当時は氷でコーヒーを冷やすのではなく、コーヒーを淹れたガラス瓶を井戸水で冷やしていたためです。
今でも大阪ではアイスコーヒーを「冷コー」と呼ぶところもあるようですが、この頃の冷やしコーヒーが基となっているのかもしれません。
アイスコーヒーが全国に知られるようになったのは、昭和30年頃に喫茶店が増えていった頃で、本格的にアイスコーヒーが広まったのは1970年頃。
アイスコーヒーは昔から飲まれているイメージが強いですが、日本では今から約50年前に広まったので、嗜好品として定着したのはここ最近ともいえます。
アイスコーヒー入れ方の種類
アイスコーヒーの入れ方は「急冷式」と「水出し」の2種類があります。ここでは、それぞれの入れ方と特徴について解説していきます。
ハンドドリップ(急冷式)
急冷式とはその名の通り、氷などで急速に冷やしたアイスコーヒーのことを指します。
淹れ方はハンドドリップと同様ですが、コーヒーを受けるサーバーの中に氷を詰めて抽出するため、すぐに冷えて完成後もそのまま飲むことができます。
抽出時のコツは“濃い目”のコーヒーを淹れる”こと。濃い目に抽出することにより、氷でコーヒーが薄まりちょうど良い濃さになります。
急冷式アイスコーヒーの特徴は…
- スッキリとした味わい
- 淹れたてのコーヒーの香りを楽しめる
- 程よい濃さ
しかし、酸化によりコーヒーの味が変化しやすいため、作ったらその日のうちに飲み切る必要があります。また、ハンドドリップで淹れる必要があるため、初心者には逆に手間がかかる可能性があります。
水出しとの違いは“長時間の仕込みが不要”ということ。飲みたい時に、すぐにアイスコーヒーが飲めるという点が急冷式の利点です。
水出し
浸水式ともいわれ、水でゆっくりと時間をかけてコーヒーを抽出する入れ方です。水を入れたピッチャーなどに、コーヒー粉を入れたコーヒーパックを浸して冷蔵庫で抽出していきます。
浸水させる時間は8~12時間です。
最近は、コーヒー粉を入れるストレーナーはついた水出しアイスコーヒー専用のボトルも販売されているため、水出しのアイスコーヒーが好きで頻繁に飲む方は購入してみると良いでしょう。
水出しアイスコーヒーの特徴は…
- まろやかでコクがある味
- 雑味や苦味がなく飲みやすい
フタを閉じて保存することで3日程度もつので、一回作れば数日分は確保できるのが利点です。
また、ハンドドリップとの違いはコーヒーオイルが抽出されないためクセが少ない点と、初心者でも作りやすい点もポイントです。しかし、抽出に時間がかかるため、どれくらいになくなるかを予想して事前に作っておく必要があります。
アイスコーヒーに合う豆の種類
結論からいうと、アイスコーヒーに使う豆は「苦味が感じられる”深煎り”」がベストです。
その理由は「コーヒーを氷で冷やして抽出することで味が薄まる」からです。
深煎りは焙煎(加熱)時間が長いため、苦味が強く出るだけでなく、お湯で淹れた場合は濃いコーヒーを抽出できます。
また、人間の味覚は冷たいモノには、苦味は弱く酸味を強く感じる傾向にあるため、苦味が出やすい深煎りで抽出することで味のバランスがちょうどよくなります。
挽き目は「中細挽き」が理想です。
コーヒー粉の挽き目が細かいほど、コーヒーの成分や味が濃く抽出されます。
中細挽きであれば酸味と苦味がバランスよく抽出され、更に深煎りの豆が苦味を抽出してくれるため、コクのあるアイスコーヒーに仕上げることができます。
美味しいアイスコーヒーの作り方
美味しいアイスコーヒーの作り方を「急冷式」「水出し」「インスタント」にわけて紹介していきます。
ドリップ(急冷式)
ハンドドリップで淹れる急冷式アイスコーヒーの作り方を紹介していきます。
「自分好みの味を追求したい」「普段からハンドドリップでコーヒーを淹れる」という方におすすめです。
準備する器具
- コーヒー豆(深煎りが◎)
- コーヒーミル
- ドリッパー
- ペーパーフィルター
- コーヒーサーバー
- 細口ドリップケトル
- 氷
豆を挽くところから行う場合はコーヒーミルを準備しましょう。挽き目は”中細挽き”がベストです。お店で挽いてもらったコーヒー粉を使用する場合は、コーヒーミルの準備は不要です。
作り方
- コーヒーサーバーに氷を入れて、器具をセットする
- 中細挽きで挽いた豆をペーパーフィルターにセットする(1人分コーヒー粉20g、お湯140ml前後を準備)
- 粉全体をお湯で湿らせて蒸らす(お湯を注いだら30秒ほど待つ)
- 「の」の字を描くようにお湯を注いでいく
- 目標抽出量に達したらドリッパーを外す
- グラスに注いで完成
急冷式は氷でコーヒーが薄まるため、通常のハンドドリップよりもコーヒー粉を10g多く入れると、ちょうど良い濃さのアイスコーヒーが完成します。
濃さはそれぞれ好みがあるので、まずは一人分20gで作ってみて、減らしたり増やしたりしてみるのも良いでしょう。
水出し
水出しのアイスコーヒーの作り方を紹介していきます。「自分でコーヒーを淹れるのは初めて」「時間がかかっても手軽に作れる方がいい」という方におすすめです。
準備する器具
- ピッチャー
- コーヒーパック
- コーヒー粉100g
- 水1L
水は1Lと記載していますが、用意するピッチャーの容量に合わせてください。アイスコーヒー1杯を120mlとした場合、1L作ると約8杯分の水出しアイスコーヒーを作ることができます。
作り方
- コーヒー豆をミルで挽く(深煎り豆で中細挽き)
- 挽いたコーヒー豆約100gをコーヒーパックに入れる
- ピッチャーに②のコーヒーパックを入れ、常温の水を静かに注ぐ
- 冷蔵庫に8時間程度おく
- コーヒーパックを取り出したら完成
③では冷たい水よりも、常温の水を使うとコーヒーが抽出されやすくなります。
また、抽出を終えたらコーヒーパックはすぐに取り出しましょう。長時間浸けすぎると「苦味」「渋み」の原因となり、水出しコーヒーの味が損なわれてしまいます。
今回はコーヒーパックを使った作り方ですが、水出しアイスコーヒー専用のピッチャーを使う場合は、粉を入れるストレーナーがついているのでコーヒーパックの準備は不要です。
挽いた粉をストレーナーに直接入れて抽出しましょう。
インスタント
インスタントコーヒーでアイスコーヒーを淹れることも可能です。手軽かつ安価なので、「アイスコーヒーを飲むのに時間や手間をかけたくない方」におすすめです。
準備する器具
- インスタントコーヒー 小さじ1.5程度
- お湯 90ml
- 氷
- グラス
作り方
- グラスにインスタントコーヒーを入れる
- ゆっくりとお湯を注ぎ、かき混ぜて粉を溶かす
- 氷を入れて完成
インスタントが一番手軽かつ簡単に淹れられることがわかります。また、粉を溶かせる程度のお湯を少々いれたら、グラスに氷を入れて水を注いで作る方法もあります。
水を冷やしておくことで、すぐに冷たいアイスコーヒーを飲むことができます。
アイスコーヒーは作り置きして大丈夫?
結論からいうと、アイスコーヒーは作り置きして大丈夫です。しかし、作り置きした場合は賞味期限を守るようにしましょう。
- 急冷式→抽出から2~3日
- 水出し→水に入れてから2~3日
どちらの抽出方法でも、保存期間は2~3日です。それ以上経つと酸化が進み、苦味や渋みが抽出されてコーヒーの鮮度が落ちます。
コーヒーは酸化や光で鮮度が落ちるため、美味しく飲みたい場合は作ってすぐもしくは24時間以内に飲みましょう。保存する場合は酸化を防ぐために、密閉できるボトルに移すと良いでしょう。
基本を知って自宅でアイスコーヒーを楽しもう
いかがでしたか?
今回はアイスコーヒーの基礎知識である起源、入れ方の種類、作り方、作り置きについて解説しました。
本記事の内容をまとめると下記の通りです。
- アイスコーヒーは1840年頃にヨーロッパから広まった
- 日本で飲まれるようになったのは1891年と今から約130年前
- 入れ方の種類は「ハンドドリップで作る”急冷式”」「ゆっくりと抽出する”水出し”」の2種
- 作り置きは可能で2~3日以内で飲むと◎
アイスコーヒーも夏の暑い時期や、冬場で室内が暑い時に飲むとホッと一息つける嗜好品です。ぜひ、この機会に自宅でアイスコーヒーを作ってコーヒーライフを楽しみましょう。